大好きな君にエールを
「…嶋、おーい荒嶋!」
自分の名前を呼ばれ、ふと我に返った。
「集中しろ、集中!」
キャプテンに叱られた。俺はすまないと頭を下げた。
恋は中途半端にしてしまった。だけど部活も中途半端ってわけにはいかないんだ。
俺は腰を下ろし、構えた。ミットをかぶる。グローブに手を通す。
────…明日から甲子園の県大会予選が開幕だ。
そして今日は県予選前の最後の部活。胸が高鳴る反面、寂しいと思ってしまう。
3年間いろいろあった。花龍に慣れず、戸惑った日もあった。だけど野球部に入ってシゲさんに出会った。
恋は、今みたいに麻帆と上手くいかない日もあった。些細なことでぶつかった。理由は簡単なことなのに。
そう…ただ、会いたい。