大好きな君にエールを





「明日から思いっきり野球するぞー!」


部活の終わり、キャプテンが声を張り上げた。部員は一気に飛び上がった。


「先輩、コレ!!」


後輩達が3年の前に立ち、一斉に差し出したモノとは。


「…似顔絵?」


野球ボール型のフェルトに刺繍糸で縫われた顔の形が若干崩れた俺の似顔絵があった。


ふっと笑い、隣の永松を見てみると手のひらには、眉毛がちょっと下がった永松の似顔絵があった。


俺はクスッと笑ってしまった。すると2人の後輩が『笑わないでくださいよー。一生懸命作ったんですからぁ』と拗ねた。


俺は『ごめんな、サンキュー』と2人の頭をガシガシっとした。2人は照れ臭そうに帽子をかぶり直した。


再び、似顔絵付き手作りボールを見た。後輩らしさが出ていて、やっぱり笑えてしまう。


でも…嬉しいよ。俺は手作りボールを握りしめた。







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