大好きな君にエールを
「さっき監督に電話したらさ、今野球バカ2人が脱走しているって聞かされて。絶対お前らだって思ったよ」
笑いながら話すシゲさんは少し大人びていた。
「あの…俺たちを確保するためにわざわざ来たんですか?」
「…あれ言ってなかった?俺、この周辺に住んでるんだよ」
初耳っス。花龍からは離れるとは言っていたけど…まさかこの周辺だったなんて。
「まー、よく決勝まで勝ち残ったな」
シゲさんは、俺と永松の頭を叩いた。
「当たり前です。約束ですから」
「ははっ。まさか本当に叶えるなんてな。お前らすげーよっ」
1年前、シゲさんに甲子園の舞台でキャッチャーをさせてあげることが出来なかった。
でも…今、甲子園の決勝に勝ち残っているからといって、シゲさんに戦わせてはあげられないけど。
だけどシゲさんの想いはまだ、甲子園にある。残されたままなんだよ。