大好きな君にエールを
side*麻帆
「やぁっ!」
バシンッ!
道場に響き渡る、あたしの竹刀の悲鳴。今日は一段と響くなぁ。
「荒れてる?」
面を付けたままの絢子が聞いてくる。
「まさかっ。大会が近いから意気込んでるだけだよ」
ビーンと弦を弾く。その音が再びあたしに火を点けた。
荒ちゃんに距離を置こうと言われて、数日が経った。荒ちゃんからは音沙汰無し。
わかっているけど…辛い。連絡が来ないのもわかってる。でも、自分から待ってるって言ったんだもん。
一度決めたことは、最後まで貫き通さなきゃ。じゃないと、荒ちゃんは呆れちゃうよ。
あたしは竹刀を握りしめた。いよいよ来週は地区大会。あたし達3年にとっては最後の大会。
絶対に負けてらんない。