大好きな君にエールを
「ただいまー」
いつものように我が家に帰った。お母さんがドアからおかえりーと顔を出す。
「いよいよ地区大会ねっ」
「うんっ。マジで緊張ー」
あたしは冷蔵庫からオレンジジュースを取りだし、コップに注いで口へ運んだ。
「そう言えばね、今日○×スーパーで康也くんのお母さんと会ったわ」
コップを持つ手が止まった。
「康也くん達も、夏の甲子園予選に向けて頑張ってるみたいよー」
夏の…甲子園。いつか言ってたっけ?荒ちゃんが甲子園でレギュラーとして戦ってる姿を、あたしに見せてくれるって。
今は…どうなのかな?彼女だけど名前だけ。本当は中途半端な彼女なんだ。
「どうしたの、麻帆。いつもみたいに、あたしも荒ちゃんに負けないぞーとか言わないの?」
あたしは黙り込んだ。お母さん、言えるわけないよ。今は言える関係じゃないもん。