大好きな君にエールを
「…麻帆」
何も言わないあたしに、お母さんは言った。
「康也くんと何かあった?」
「………」
「やっぱりね。麻帆の顔を見たらわかるわよ。あたしは麻帆の母親だもの」
そう言って、お母さんはあたしを優しく抱きしめてくれた。久しぶりの『母親』の匂いに鼻の奥がツンとなる。
「もしかして、別れちゃった?」
「…ううん。でも、距離を置こうって言われちゃったよ…」
「でも、麻帆はまだ康也くんが好きでしょ?」
あたしは小さく頷いた。
「お母さん、あたしね…頑張る。荒ちゃんがあたしを信じてくれるようになって電話くれるまで待ってみるんだ」
お母さんはあたしの頭を優しく撫でた。ひーちゃんの優しい手のひらと重なって、あたしの目からは涙が溢れてきた。