大好きな君にエールを
「その意気よ、麻帆!その意気で明日の大会も頑張りなさいっ」
お母さんに両肩を叩かれ、気合いを入れられた。おかげで涙も止まった。
「結果はどっちでもいいよ。だけど3年間、汗水流して努力してきたことは忘れないで」
「…うんっ。わかった」
「さー今日のご飯はカツにしよっと。明日の麻帆のためにね!」
お母さんは可愛らしくウインクを放った。
今までマメはたくさんできた。摺り足のせいで足は何回も擦った。腕だって筋肉痛になった。
顧問に叱られて泣く日もあった。上達しなくて悔やむ日もあった。キャプテンとしての任務が出来ず自分を責める日もあった。
家に帰って、素振りをしながら空を見上げたこともあった。なんだか竹刀が、空を引き裂けるような感じがした。
「あ、だけどお母さんっ」
「ん?」
「あたし明日、負けるために戦いには行くんじゃないからね。勝ちに行くんだよっ」