大好きな君にエールを





大塚くんは片手をあげて、男子剣道部の元へ駆けていった。


「わざわざ来るなんて、よっぽどあさぽんが心配だったんだねー」


藍がニヤニヤしながらあたしを見る。あたしはやめてよ!と言いながらイチゴ飴を見つめた。


…だけど、イチゴ飴は許してやってもいいかな…美味しそうだし。あたしは包みを開け、飴を口の中へ。


「ん、美味しい」


本当に…緊張が解れたかも。あたしはふっと笑い、荷物を手に持ち会場へ入ることができた。


ありがとう、大塚くん。


─────…


「じゃあ、試合に出場する選手はあたしについてきて。出場しない選手はあそこの…」


と、顧問からの指示を明確にみんなに伝える。


「先輩、頑張ってくださいっ!」


試合に出ない後輩が黄色い声援を送る。だけどあたしは言った。


「なーに言ってんの?試合はみんなで戦うんだよっ」







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