大好きな君にエールを
後輩達は涙ぐみながら『はい!』と笑った。ありがとう、みんな。あたしは試合へと歩き出した。
「いけー!薫先輩っ!!」
たくさんの熱気が広がる会場の中あたし達は戦っていた。今は、団体戦の最中で同じ学年の薫が戦っている。
ちなみに…この試合は決勝だ。
「勝者ありっ!」
審判は、相手に旗をあげた。そうあたし達は負けた。
「…超悔しー」
薫の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
「麻帆…頼んだ」
あたしは力強く頷き、竹刀を握りしめて立ち上がった。大将のあたしが…負けるわけにはいかない。
─────…
「蹲踞」
竹刀に神経を集中させる。ふと、髪を結っている黒ゴムが熱く感じた。
荒ちゃん…荒ちゃん、荒ちゃん。
「構え」
あたし…やってやる。絶対に、負けてたまるか。ここで終わってたまるか。
「───…はじめっ!」
ダンッと会場が揺れた。