大好きな君にエールを
バシッバシッ…
会場にはあたし達のやり合いが続く。だけど…なかなか相手から1本が奪えない。
強い。
一歩でも油断したら…取られる。あたしは額の汗も気にしないで打ち込んだ。
「勝負!」
あたし達は互いに踏み切った。あたしの竹刀が再び悲鳴をあげる。
「小手!」
「…銅っ!」
だけど…
「麻帆っ!!」
途中、あたしはバランスを崩してしまった。しまったと思いつつ体勢を戻した。
だが、さっきよりも相手が攻めに来てしまい、あたしは動けなくなった。
動けないあたし。
動ける相手。
手は動かせても、あたしに逃げ場はない。どうする…あたし!あたしは足に力が入るのを感じながら作戦を練った。
一歩動けば、反則で試合終了。だけど何もせずに相手の攻撃を抑えているだけなら体力の無駄。