大好きな君にエールを





「はじめ!」


バシバシッ


今日もまた、いつもの道場で竹刀とあたし達のかけ声が絡み合っていた。


「右、右だぞ倉橋!」


監督に指示されながら、練習に打ち込む。汗だくの体を必死に動かした。


「麻帆、おっつー!」


練習が終わり正門へ向かうと、私服のひーちゃんが立っていた。


「あたしも部活したーいっ」


ひーちゃんが嘆く。そう、ひーちゃん達女子サッカー部は、地区大会で惜しくも負けてしまった。地区でベスト8位だ。


試合が終わった後、学校でひーちゃんは自分のせいで負けた、とあたしの腕の中でわんわん泣いた。


そんなことない。ひーちゃんは一生懸命やったからそれでいいんだよ。


あたしの慰めは言葉からしたら軽かったかもしれない。ひーちゃんは余計に泣き崩れた。







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