大好きな君にエールを





そして、それから月日は流れて高校最後の夏休みに入った。長いようで短かった1学期が終わった。


あたしは進路で悩みつつも、練習にも没頭した。大好きな剣道を手放したくないから、しっかり進路も見つめるんだ。


「麻帆さーんっ!!」


遠くから大塚くんが手を振りながら向かってくる。


「今から練習っすよね?一緒に行きましょうっ」


荒ちゃんから電話が来た時、傍にいてくれた大塚くん。大会で緊張しているあたしを励ましてくれた大塚くん。


恋愛感情じゃないけど、ちょこっとドキドキしてるあたしがいる。


「あ、麻帆さんっ」


「ん?何?」


「今日の帰りなんすけど、一緒いいっすか?」


「へっ?」


歩いてる足を止めた。


「…話あるんで。正門で待ってます」


そう言うと、大塚くんは走り去ってしまった。自分から一緒に行こうって誘ったくせに。







< 453 / 526 >

この作品をシェア

pagetop