大好きな君にエールを
そして、それから月日は流れて高校最後の夏休みに入った。長いようで短かった1学期が終わった。
あたしは進路で悩みつつも、練習にも没頭した。大好きな剣道を手放したくないから、しっかり進路も見つめるんだ。
「麻帆さーんっ!!」
遠くから大塚くんが手を振りながら向かってくる。
「今から練習っすよね?一緒に行きましょうっ」
荒ちゃんから電話が来た時、傍にいてくれた大塚くん。大会で緊張しているあたしを励ましてくれた大塚くん。
恋愛感情じゃないけど、ちょこっとドキドキしてるあたしがいる。
「あ、麻帆さんっ」
「ん?何?」
「今日の帰りなんすけど、一緒いいっすか?」
「へっ?」
歩いてる足を止めた。
「…話あるんで。正門で待ってます」
そう言うと、大塚くんは走り去ってしまった。自分から一緒に行こうって誘ったくせに。