大好きな君にエールを





話って…何?でも、大塚くんから呼ばれる理由は…あの話しかないよね。きっと、恋の話。


「倉橋、キレが甘いぞ!」


顧問の声にハッとした。あたしの手には竹刀が握られていて、部活中だと思い知らされた。


「そんなんじゃ、強化合宿には行かせないぞ!」


「す、すみません!」


あたしは気合いを入れ直して竹刀を握った。


─────…


「遅くなってごめんね」


部活が終わった後正門に向かい、門に寄りかかっている大塚くんに謝った。大塚くんは大丈夫っすよと歩き出した。


いつもの暑い帰り道。だけど夕方は少し涼しく感じた。


隣を歩くのはやめて、あえて大塚くんの斜め後ろを歩く。大塚くんの影を踏んでみた。


「麻帆さん」


同時に大塚くんが振り向いてびっくりした。だけど、驚いた声は心の中へ閉まった。


「…は、はい」


年下に敬語なんて笑える。


「あれから彼氏さんとはどうなんすか?」







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