大好きな君にエールを
ほら、やっぱり聞かれちゃった。でもあたしは平然と返す。
「どうもなってないよ。今も変わらず距離を置いてる」
「彼氏さんから連絡は?もしかして…一切無いんすか?」
「…うん。今の時期、部活も忙しいだろうしさ。それに…やっぱり簡単には信じてもらえな…」
最後まで言えなかった。だって、あたしは大塚くんの腕の中にいたんだから。
「ちょ、大塚く…」
「…れ…すか?」
「え?」
「俺じゃ…ダメっすか?」
あたしは耳を疑い、止まった。
「麻帆さんの傍にいるの…俺じゃダメっすか?」
腕の中だから顔は見えない。だけど大塚くんの心臓がバクバクいってる音は聞こえる。
「…ごめん」
その波に乗せてあたしは返した。
ごめんね、大塚くん。あたし大塚くんじゃダメなの。
あたしが傍にいてほしいのは…君じゃない。