大好きな君にエールを
─────…おーい、麻帆っ!
荒ちゃんの声が聞こえる。
─────…甲子園で戦う姿、麻帆に見せてやるよ。
あたしの大好きな笑顔で荒ちゃんが笑ってる。
会いたい…会いたい、会いたい。
──────…麻帆、泣くなよ。
「…あ…いたい…会いたい。荒ちゃんに…会いたいよぉ」
一粒の涙が頬を伝った。藍が行きなよ、と合図をした。
「明日の練習は、今日の分も含めて2日分になるからねっ」
おばさんが意地悪っぽく笑い、甲子園への道のりよ、とあたしに紙を渡した。あたしは受け取り、家を飛び出した。
「ちょ、麻帆!その格好で行くの!?剣道着だよーっ!」
背後に藍の声が聞こえた。だけどあたしは引き返す気はない。剣道着でもなんでもいい。
あたしは前に…前に突き進むの。
大好きな君に精一杯のエールを送るために。
そして、大好きな君を待っているだけじゃなく、
─────…会いに行くために。