大好きな君にエールを
そう思っていた時だった。
カキン…
金属音が響いて、俺はベンチから立ち上がった。ヒットを打ったのは後輩の真鍋。ゲームが動き出し俺の心も熱く燃え出した。
「次、俺の番だ」
永松がタオルを置き、バットを手にした。俺は永松の背に話しかけた。
「永松、ぶっ倒れんなよ!」
「ぶっ倒れる気持ちでやんなきゃ勝てねーぞ?」
ふっと笑ってしまった。永松がそんなこと言うなんて思ってなかったから。
「次につなげてやるよ」
有言実行ヤロー、永松がネクストサークルへ向かう。凛とした背中は、男の俺でも憧れてしまう。
そして、バッターが三振という結果を残してベンチへ戻り、永松の打席が回ってきた。
「勝先輩…」
後輩達が永松を見つめ、心配そうに呟く。そんなに心配しなくても大丈夫なんだよ。
だって、永松は打つからさ。