大好きな君にエールを
「な…なんで」
「お前わかりやすい」
ベンチに腰かけて、試合を見つめる永松。俺も隣に座った。
「彼女、スタンドに居たんだろ?荒嶋ときたら二度見してたし」
「…そこまでバレてた?」
「当たり前だろ。お前に話しかけようとしたらスタンド見てたんだから」
あぁ…恥ずかしい。俺は帽子を深くかぶった。
「で、どうする?このまま相手にやられっぱなしなんてごめんだ」
「当たり前だろっ。彼女にカッコ悪い姿見せらんねーし」
「恋愛にばかりいくなよ、荒嶋。今は甲子園の決勝だぞ?大丈夫かよ」
「さっきよりは大丈夫!」
今はなぜか、やる気が満ち溢れているんだ。これがきっと恋の力。麻帆を好きな気持ちなんだ。
麻帆、お前に見せてやるからな。約束したよな、甲子園で俺が戦ってる姿を見せてやるって。
「あ…守備行くぞ、荒嶋」
永松に言われてベンチから腰を上げた。