大好きな君にエールを
「ボール!」
スクリーンに緑色のランプが1つ増えた。よく見た!とか次は打てとスタンドが湧く。
みんなも信じてる。4−1でも、負けると思わないで、花龍が逆転勝ちをできることを信じているんだ。
あたしも…応援しなきゃ。さっきから心では荒ちゃんの名前を叫んでいるけど、声に出しては叫んでいない。
荒ちゃんにエールを送らなきゃ。あたしの精一杯を荒ちゃんへ届けなきゃ。
あたしは剣道着を整え、立ち上がって青空を見つめた。青空パワーを、荒ちゃんにちょうだい、と。
そしてバッターボックスにいる荒ちゃんを見て、いっぱいいっぱいの息を吸い込んで叫んだ。
恥なんて知らない。周りの熱意なんか押し退けて、あたしのエールを送った。
「かっ飛ばせぇー、あーらーちゃーんっ!!」