大好きな君にエールを
「やったーっ!!」
途端にスタンドが賑わった。俺はわけがわからず、1塁コーチャーを見ると、
「ホームランだぞ、荒嶋ぁっ!」
と嬉しそうに回れ回れ、と合図をした。…ホームラン?嘘だろ。嘘だろ嘘だろ!?
嬉しさと驚きに誘惑されながら1つ1つ、ベースを踏んでいった。
ホームベースへ向かうと、先にベースを踏んだ永松が嬉しそうに待ち構えていた。
「ホームイン!」
審判の声を聞いた直後、俺は永松へ飛び込んだ。
「ちょ…荒し…」
「永松ーっ。永松永松ーっ!」
叫びたいくらいの喜びを隠せなかった。永松にも、世界中のみんなにも。
ベンチからも選手が出てきて、頭や肩を叩かれた。俺は本当に、幸せ者だと思った。
そして、麻帆がいるスタンドの方を向きガッツポーズをした。スタンドは盛り上がり、剣道着姿の麻帆も手を叩いてくれていた。
ベンチへ戻ると監督が小さく拍手をしてくれた。俺は一礼して座った。