大好きな君にエールを





スクリーンに表示された、4−3の数字が俺の脳裏に記憶される。再び自分の顔が緩んだ。


「逆転勝ちももう目の前だな!」


「あと1点だっ」


仲間が嬉しそうに話す。そうだ、あと1点なんだ。あと1点で同点になる。そして延長戦になるか、逆転勝ちが決まる。


逆転勝ちが無理なら、せめて延長戦を望みたい。…また、麻帆にキャッチャー姿を見せてやりたいんだ。




しかし…



「ゲームセット!試合終了!」



夢は一瞬にして打ち砕かれた。


俺の後のバッターはフライ。最後のバッターは…三振に終わった。


花龍のバッターは、バッターボックスに倒れ込む。相手はマウンドに一気に集まる。




1点が、遠かった。


1点でこんなにも違うんだ。




じわじわと熱いものが込み上げてくる。だけど、


「整列だぞ、荒嶋」


永松の平然とした声に押され、整列をするために走った。







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