大好きな君にエールを
「4−3、原ヶ岡高校の勝利!」
互いに礼をして、数人の選手と固く握手を交わした。
「花龍と戦えてよかった。ここで戦ったこと、忘れないからな」
「もちろん、俺だって忘れない。…ありがとうな」
俺は、原ヶ岡のキャッチャーと肩を抱き合った。相手は嬉し涙を流していた。
俺は涙を見せなかった。原ヶ岡の校歌が流れるまでは、必死にこらえていた。
だけど校歌が流れた瞬間、もう我慢の限界だと体が訴え、一気に甲子園球場が滲み始めた。
負けた。俺たちは負けたんだ。
花龍の校歌が流れていない。
俺たちが歌っていない。
俺たちは嬉し涙を流していない。
それが、俺たちが負けた…証。
「…くっそぉ…」
悔しい思いが抑えきれず、言葉となって溢れ出した。涙もいくら拭っても、止まらない。