大好きな君にエールを





夏が、終わった。俺の楽しみだった夏が…終わったんだ。


部員全員で、花龍スタンドへ向かい『ありがとうございました!』と涙声で叫んだ。


最後の最後まで応援をしてくれた観客が、温かい拍手をくれた。俺は再び鼻の奥がツンとして、帽子を深くかぶった。


もう、この仲間と野球をすることはない。永松ともバッテリーを組むことも、ない。


もう二度と来ない俺の高校時代。


何もかもが最後で、涙なんか止まらなくて。涙まみれになりながら甲子園の土をすくった。


これは俺たちが過ごした、今日。誰にも変えることはできない、俺たちのページがあったんだ。


そして、インタビュー。俺は永松の投げる球を受ける。俺たちは、たくさんの記者やカメラマンから写真を撮られた。


永松のフォームは、最高だった。でも、永松は写真を撮られるために投げているんじゃない。


俺に『ありがとう』と投げている気がした。







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