大好きな君にエールを
「てゆーかシゲさん。手、離してくださいよ」
「わかった。じゃあせーので目を開けろよ?」
俺が頷くと、シゲさんの手が離れた。うっわ…光が眩しい。
「じゃいくぞ、…せーのっ!」
目を開けた瞬間、言葉が出なかった。びっくりしすぎて…嬉しすぎて。
「久しぶり、荒ちゃん」
目の前にはシゲさんではなく、剣道着に身を包んだ…麻帆がいた。
「ひ…久しぶり。来てくれたんだな」
「うん。剣道の練習してたんだけど…荒ちゃんにエール送りたくて全力疾走で来たっ」
ニコッと笑う麻帆は、正月に帰省した時に見た笑顔と変わっていなかった。
「ありがとな。…でも俺たち…負けちゃった」
「ううん。あたしの中では、花龍の方が勝ってた!!特に…荒嶋康也っていう選手はキラキラしていて1番カッコ良かったよっ」
本当は、勝ちたかった。
大切な仲間のためにも、こんな風に俺を一途に想ってくれる彼女のためにも。