大好きな君にエールを

side*康也





……長い。祝辞か何か知らんけど、長すぎる。


俺は、出席番号が最初だから1番前に座っている。そして眠れないわけなのさ。


麻帆の方をチラッと見てみる。


あーあ……泣きすぎだろ。しかも、隣の席の男ハンカチ貸してるし。


……なーんかムカつく。


でも、今はこうして麻帆のことを見れるけど、卒業したら見れなくなんだよな。……麻帆が他のヤローと話をする姿も。


俺の知らないところで、楽しくしたりすんのかな。笑ってんのかな。


……嫌だ、考えたくねぇ。


式は終わり、お世話になった親、3年間共に過ごした友達と写真を取り合ったり、アルバムにメッセージを書きあったりしていた。


俺も親に無理矢理腕を掴まれ、写真撮影。苦笑いの俺に化粧がボロボロの母親と、母親の肩と俺の肩を抱く父親。


そうだ、家族とも……会えなくなんだ。今さらながら……寂しさが増す。あんなに行きたいんだと押しきった高校に行けるのに。


情けねぇな、俺。



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