大好きな君にエールを




右、左。バシィ!バシィッ!


右、左。バシィ!バシィッ!


さっきからその繰り返し。あたしの目は、栞先輩の動く方向に動く。


「観察ばかりしてないで、かかってきなさいよ麻帆っ」


栞先輩は流れ落ちる汗を気にしながらあたしに言った。


それなら先輩、あたし……


「遠慮……しませんよ」


あたしは栞先輩の返事も聞かず、竹刀を突き出した。栞先輩は目をパチパチしている。


「し……栞先輩すみませんっ。今、返事聞いてなくて……」


「麻帆ーっ!」


すると、栞先輩が防具をつけたまま、あたしに駆け寄ってきた。


「今の打ち方教えて!」



はい?



< 90 / 526 >

この作品をシェア

pagetop