王国ファンタジア【氷炎の民】外伝~新生~
第1章 小さな花嫁
「レジアス、似合うか?」
銀の髪の子どもはくるりと一回転をして見せた。
ドレスに見立てて着付けられたと思しきシーツのすそがふわりと翻る。
きらきらした銀髪にはヴェールのつもりらしい薄く柔らかな紙が、花冠で押さえられている。
期待に凍青の瞳を輝かして返答を待つ子どもは、どう見ても花嫁の仮装をした飛び切りかわいらしい少女にしか見えない。
薔薇の花びらを思わせる形のよい唇には、ご丁寧に紅まで刷かれている。
子どもにレジアスと呼ばれた青年と言うには年若い少年は、己の額を抑えた。
「なんて格好をしているんですか」
「あ? おかしいか」
「おかしいとか、おかしくないとかそういう問題じゃないでしょう」
子どもはレジアスの言葉に怪訝げに首を傾げる。
「みんな似合うと言っていたぞ」
確かに似合う、似合いすぎる。
ほんとにかわいらしい花嫁に見える。
しかし、それがまた問題だった。
「母上に見てもらう」
答えない少年に業を煮やしたか、身を翻して走り出そうとした子どもをレジアスは慌てて捕まえる。
「ちょっと、待ってください」
「離せ、レジアス」
「だめですよ。サレンス様は男の子なんですから、いくら似合っていてもその格好はだめです」
少年の嗜める言葉は子どもには通じない。
「なぜだ?」
逆に詰問される。
「なぜって」
言葉に窮するレジアス。そのとき背後から声が掛けられた。
銀の髪の子どもはくるりと一回転をして見せた。
ドレスに見立てて着付けられたと思しきシーツのすそがふわりと翻る。
きらきらした銀髪にはヴェールのつもりらしい薄く柔らかな紙が、花冠で押さえられている。
期待に凍青の瞳を輝かして返答を待つ子どもは、どう見ても花嫁の仮装をした飛び切りかわいらしい少女にしか見えない。
薔薇の花びらを思わせる形のよい唇には、ご丁寧に紅まで刷かれている。
子どもにレジアスと呼ばれた青年と言うには年若い少年は、己の額を抑えた。
「なんて格好をしているんですか」
「あ? おかしいか」
「おかしいとか、おかしくないとかそういう問題じゃないでしょう」
子どもはレジアスの言葉に怪訝げに首を傾げる。
「みんな似合うと言っていたぞ」
確かに似合う、似合いすぎる。
ほんとにかわいらしい花嫁に見える。
しかし、それがまた問題だった。
「母上に見てもらう」
答えない少年に業を煮やしたか、身を翻して走り出そうとした子どもをレジアスは慌てて捕まえる。
「ちょっと、待ってください」
「離せ、レジアス」
「だめですよ。サレンス様は男の子なんですから、いくら似合っていてもその格好はだめです」
少年の嗜める言葉は子どもには通じない。
「なぜだ?」
逆に詰問される。
「なぜって」
言葉に窮するレジアス。そのとき背後から声が掛けられた。