王国ファンタジア【氷炎の民】外伝~新生~
この2年の間にレジアスはずいぶんたくましくなっていた。
背も伸びていたが、少年らしい華奢さは影を潜めて、がっしりとした体つきに変わろうとしていた。あきらかに青年期に入っていた。
その彼の小さな主、サレンスはさらに美貌に磨きがかかったようだった。
凍てつく冬空の瞳は、銀の長い睫に彩られ神秘的にすら見える。
肩に届くか届かないかと行ったところで切りそろえられた銀の髪は、あいかわらずきらきらと輝いていた。
子どもは緊張しているのか、いつもより少し硬い表情で言葉をつむぐ。
「こんにちは、メイリア。具合はどう?」
「もうだいぶ良いわ」
メイリアはサレンスの後に控えるレジアスをまったく無視して答える。
「よかった。これお見舞い」
サレンスが差し出すのは小さな花束と、甘い匂いのする焼き菓子。
こんがりと狐色に焼けたそれはいかにも美味しそうである。
それに意外な言葉が付け加えられる。
「レジアスが作ったんだよ」
「えっ?」
思わず、レジアスに視線を流すと彼は一つうなづいた。
「僕も少し手伝ったんだよ」
得意げに胸をそらす子ども。
「そうなんだ。ありがとう」
「はやく元気になってね」
「うん」
にこりと笑みを返すと、サレンスが安心したかのように表情を和らげる。
と、レジアスが言う。
「サレンス様がしっかり毒見をしていたから、味は確かだと思うよ」
「毒見?」
「えへへ」
サレンスが舌を出して笑う。
「もう少しで無くなるところだった」
「だって、おいしかったんだ」
「だそうだ」
彼はサレンスを間にはさんだまま手を伸ばして、メイリアの頭に手を置いた。
子ども扱いしてと、彼女が睨み上げると笑顔にぶつかった。
「元気そうでよかった」
彼女の好きな優しげな響きのある声で言われて、メイリアは真っ赤になったまま固まってしまった。
背も伸びていたが、少年らしい華奢さは影を潜めて、がっしりとした体つきに変わろうとしていた。あきらかに青年期に入っていた。
その彼の小さな主、サレンスはさらに美貌に磨きがかかったようだった。
凍てつく冬空の瞳は、銀の長い睫に彩られ神秘的にすら見える。
肩に届くか届かないかと行ったところで切りそろえられた銀の髪は、あいかわらずきらきらと輝いていた。
子どもは緊張しているのか、いつもより少し硬い表情で言葉をつむぐ。
「こんにちは、メイリア。具合はどう?」
「もうだいぶ良いわ」
メイリアはサレンスの後に控えるレジアスをまったく無視して答える。
「よかった。これお見舞い」
サレンスが差し出すのは小さな花束と、甘い匂いのする焼き菓子。
こんがりと狐色に焼けたそれはいかにも美味しそうである。
それに意外な言葉が付け加えられる。
「レジアスが作ったんだよ」
「えっ?」
思わず、レジアスに視線を流すと彼は一つうなづいた。
「僕も少し手伝ったんだよ」
得意げに胸をそらす子ども。
「そうなんだ。ありがとう」
「はやく元気になってね」
「うん」
にこりと笑みを返すと、サレンスが安心したかのように表情を和らげる。
と、レジアスが言う。
「サレンス様がしっかり毒見をしていたから、味は確かだと思うよ」
「毒見?」
「えへへ」
サレンスが舌を出して笑う。
「もう少しで無くなるところだった」
「だって、おいしかったんだ」
「だそうだ」
彼はサレンスを間にはさんだまま手を伸ばして、メイリアの頭に手を置いた。
子ども扱いしてと、彼女が睨み上げると笑顔にぶつかった。
「元気そうでよかった」
彼女の好きな優しげな響きのある声で言われて、メイリアは真っ赤になったまま固まってしまった。