王国ファンタジア【氷炎の民】外伝~新生~
「何をしているんです?」
「あっ、母上」
声の主は子どもの母親。銀の長い髪を背に流し、子どもと同じ凍青の瞳をした彼女は三児の母とも見えず、人目を奪う麗貌はいまだ色褪せない。
声に向き直ったレジアスの腕の中でじたばたと暴れている我が子を見て、ぽかんと口を開けた。
「かっ、かわっ……」
蒼い瞳がきらきらと輝き、手を差し伸べるように動かしかけて彼女ははっとしたように動きをとめた。細い手がぎゅっと小さな拳を作る。こめかみが引きつったように動いた。
「かわ?」
ついレジアスが彼女の言葉を反芻すると、彼女は怒ったように頬を朱に染めながらも、そっけなく命じた。
「レジアス、何をしているのです。着替えさせなさい。私は女の子を産んだ覚えはないわ」
ついっとそっぽを向き、身を翻す。
「母上……」
寂しげな子どもの呼びかけに振り向きもしない。
「さ、サレンス様、着替えますよ」
「うん」
しょんぼりと項垂れながら返事をする子どもの手を引いて部屋へと促す。
歩を進めながらも、子どもの蒼い視線は母親の細い背を追っていた。
「あっ、母上」
声の主は子どもの母親。銀の長い髪を背に流し、子どもと同じ凍青の瞳をした彼女は三児の母とも見えず、人目を奪う麗貌はいまだ色褪せない。
声に向き直ったレジアスの腕の中でじたばたと暴れている我が子を見て、ぽかんと口を開けた。
「かっ、かわっ……」
蒼い瞳がきらきらと輝き、手を差し伸べるように動かしかけて彼女ははっとしたように動きをとめた。細い手がぎゅっと小さな拳を作る。こめかみが引きつったように動いた。
「かわ?」
ついレジアスが彼女の言葉を反芻すると、彼女は怒ったように頬を朱に染めながらも、そっけなく命じた。
「レジアス、何をしているのです。着替えさせなさい。私は女の子を産んだ覚えはないわ」
ついっとそっぽを向き、身を翻す。
「母上……」
寂しげな子どもの呼びかけに振り向きもしない。
「さ、サレンス様、着替えますよ」
「うん」
しょんぼりと項垂れながら返事をする子どもの手を引いて部屋へと促す。
歩を進めながらも、子どもの蒼い視線は母親の細い背を追っていた。