王国ファンタジア【氷炎の民】外伝~新生~
健やかな寝息を立てる少年をレジアスはしばらく見守る。
頬にかかる、きらきらした銀の髪を払いのけてやるが、目覚めの兆しはない。
彼、レジアスはまだ16才。ようやく<氷炎の民>としての力を解放されたばかりであるが、もう3年ほど前からこの子どもの守り役を務めている。
サレンスは、ようやく5才となったやんちゃ盛りでありそれ相応に手もかかる。
しかし、レジアスがこの少年の守り役をつとめるのはそれだけが理由ではない。
サレンスとは彼ら<氷炎の民>の神の<器>として生まれてきたものでもある。
それゆえに、サレンスの力はいつの世代でも他の氷炎の民より突出したものとなっていたのだ。
レジアスはまた彼の<導き手>。神の巫であった。
<器>の制御を担うものである。
サレンスの両親は彼を愛そうとして愛せなかった。
神の<器>は、また神の一部である。
我が子でありながら我が子ではない。
それがどうにも消化できていない。畏怖の感情が先に立ってしまうようだった。
そして、親の感情に子どもは敏感だ。
それはサレンスの二人の兄にも伝わり、彼らは実の弟を煙たがり、相手にしようとはしなかった。結果、サレンスは男の子たちの遊びに加えられず、最近の遊び相手は近所の女の子たちと言う状態になっていた。
まだ性別のはっきりしない年齢であることと、母親似の人並み以上の容姿とあいまって、サレンスはどちらかというと女の子のようにも見えた。
しかも、近隣の女の子たちのまとめ役であるメイリアは、サレンスをまるで女の子扱い、というか女の子だと思っているようだった。
「さて」
だれにともなくつぶやくとレジアスは腰を上げた。
レジアスの癖のある髪は白銀。彼の預かる子どもよりも色が薄く、ほとんど白に近い。
瞳は彼ら<氷炎の民>によくある蒼。
「話をつけにいきましょうか」
あまり気は進まない。
レジアスはメイリアを扱いかねていた。
彼女は他の大人にはそうでもないのに、レジアスには妙に突っかかって来る。
しかし、かといっていつまでも放置するわけにはいかない。
彼の大事な預かり子は、男の子として健やかに成長して欲しかった。
頬にかかる、きらきらした銀の髪を払いのけてやるが、目覚めの兆しはない。
彼、レジアスはまだ16才。ようやく<氷炎の民>としての力を解放されたばかりであるが、もう3年ほど前からこの子どもの守り役を務めている。
サレンスは、ようやく5才となったやんちゃ盛りでありそれ相応に手もかかる。
しかし、レジアスがこの少年の守り役をつとめるのはそれだけが理由ではない。
サレンスとは彼ら<氷炎の民>の神の<器>として生まれてきたものでもある。
それゆえに、サレンスの力はいつの世代でも他の氷炎の民より突出したものとなっていたのだ。
レジアスはまた彼の<導き手>。神の巫であった。
<器>の制御を担うものである。
サレンスの両親は彼を愛そうとして愛せなかった。
神の<器>は、また神の一部である。
我が子でありながら我が子ではない。
それがどうにも消化できていない。畏怖の感情が先に立ってしまうようだった。
そして、親の感情に子どもは敏感だ。
それはサレンスの二人の兄にも伝わり、彼らは実の弟を煙たがり、相手にしようとはしなかった。結果、サレンスは男の子たちの遊びに加えられず、最近の遊び相手は近所の女の子たちと言う状態になっていた。
まだ性別のはっきりしない年齢であることと、母親似の人並み以上の容姿とあいまって、サレンスはどちらかというと女の子のようにも見えた。
しかも、近隣の女の子たちのまとめ役であるメイリアは、サレンスをまるで女の子扱い、というか女の子だと思っているようだった。
「さて」
だれにともなくつぶやくとレジアスは腰を上げた。
レジアスの癖のある髪は白銀。彼の預かる子どもよりも色が薄く、ほとんど白に近い。
瞳は彼ら<氷炎の民>によくある蒼。
「話をつけにいきましょうか」
あまり気は進まない。
レジアスはメイリアを扱いかねていた。
彼女は他の大人にはそうでもないのに、レジアスには妙に突っかかって来る。
しかし、かといっていつまでも放置するわけにはいかない。
彼の大事な預かり子は、男の子として健やかに成長して欲しかった。