LUCKYSTRIKE
1


春休みが始まった。

と思ったら英語の赤点で呼び出された。
そんな、高3直前の春休み。


「フユは馬鹿じゃないんだから、やれば出来るよ。」

「んーやる気も才能じゃないかな。」

あたしは彼にぼーっとしながらそう言った。

「加藤くんはいいさ。頭が良いから。」

「英語はね。それ以外は駄目。」

「どこがよ。」


加藤くんはあたしの彼氏。

もうすぐ付き合って一年が経つ。
正確には二回別れて今回が三度目だからもう一年以上経つけど。


付き合う前からずっと加藤くんで、未だに癖が抜けない。
友達にはいい加減名前で呼べとか言われるけど、やっぱ加藤くんは加藤くんだから。

なーんて言い訳してるけど、恥ずかしくて「ユウト」なんて呼べるはずがない。
< 1 / 11 >

この作品をシェア

pagetop