LUCKYSTRIKE
1
春休みが始まった。
と思ったら英語の赤点で呼び出された。
そんな、高3直前の春休み。
「フユは馬鹿じゃないんだから、やれば出来るよ。」
「んーやる気も才能じゃないかな。」
あたしは彼にぼーっとしながらそう言った。
「加藤くんはいいさ。頭が良いから。」
「英語はね。それ以外は駄目。」
「どこがよ。」
加藤くんはあたしの彼氏。
もうすぐ付き合って一年が経つ。
正確には二回別れて今回が三度目だからもう一年以上経つけど。
付き合う前からずっと加藤くんで、未だに癖が抜けない。
友達にはいい加減名前で呼べとか言われるけど、やっぱ加藤くんは加藤くんだから。
なーんて言い訳してるけど、恥ずかしくて「ユウト」なんて呼べるはずがない。