Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]
「麻由さんのほうは? その後、イタリアの恋人とはお変わりないんですか?
…あ、すみません。不躾な質問でしたね」
「いえ。構いませんわ。
彼でしたらこの間も大阪であった展覧会に招待されて来日していたんですよ? もう帰っちゃいましたけどね。
そうそう、綾乃ちゃんのお店にも急にお伺いしたんだってね? ごめんなさいね」
「いえ、久しぶりにベルナルドさんにお会いできて嬉しかったです。
あ、あと宮下くんも、ビックリしました。イタリア語が堪能で」
「ああ…彼はじつは帰国子女なのよ」
「えっ…そうだったんですか?」
「お父様の仕事の都合で6歳から17歳までイタリアに住んでいたらしくて、それでイタリア語が堪能なの」
通りでベルナルドさんの通訳が務まるわけだ。
「あ、そうだ」
ベルナルドさんといえば。
「以前、麻由さんがくれたバングルあるじゃないですか?」
「バングル?」
「ほら、卒業旅行のときにあたし、空港でお土産置き忘れて…」
「ああ…あれね? あれがどうかしたの?」
「いまあのバングル、あたしの部下で、事件のときにも張り込みしてくれてた男の子が持ってるんですけど」
「部下って…もしかしてオープン前日にいっしょにウチに来てくれたコ…?」
「あ…はい。そうです。その彼がたまたまあの時あげたバングルをつけてて、それを見たベルナルドさんの様子がおかしかったんです」
「あー…」
何か思い当たる節があるような麻由さん。