Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]
――3人でお茶しながら談笑をして、久しぶりに楽しいひとときを過ごした。
夕方、お店に戻る麻由さんを車までお見送りする。
「…すっかり長居をしてしまったわ。ごめんなさいね、まだ片付けの途中だったんでしょう?」
「いえ、もうほとんど終わりましたから」
「ほかに何か必要なものがあれば遠慮なく言ってね?」
「はい。…あ、そうだ。麻由さん」
「何かしら?」
「麻由さんは……小早川一弥って人知ってますか?」
「小早川一弥? えぇ知ってるわよ? 建築家よね。同い年でいちど雑誌の取材で対談したことがあるわ。どうかしたの?」
「…あたし、じつは小早川さんの事務所に来ないかって誘われてるんです」
「え…nudeに? すごいじゃない」
「…はい」
「なぁに? 浮かない顔して」
「…あたし、その人に本当に才能を買われているのかわかんなくて」
「どうして? 才能を買っているから誘っているんでしょう?」
麻由さんの言葉にあたしは首を振る。
「……似ているんだって…作風が…小早川さんの婚約者だった女性に」
「…婚約者って、もしかして相澤さん?」
「麻由さん、優花さんのことも知ってるの?」
「…えぇ、彼女とは一度大きなプロジェクトでいっしょに仕事をしたことがあるわ」