Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]
陽菜との道徳に悖(もと)る関係は3年近くに及んだ。
陽菜と体の関係を3年も続けたけど、俺は、3年間ただの一度も陽菜を想って陽菜を抱いたことはなかった。
陽菜に優花の姿を重ねながら、
陽菜の体温を通して優花の体温を思い浮かべながら、
陽菜の息遣いや陽菜の甘い声、
陽菜の反応ひとつひとつをすべて優花に置き換えて、
そうして2人にしか到達できない深奥で、
俺たちは身も心も熱く溶け合った…
『――…また優花って言った』
ついさっきまでの愛のない行為が嘘のようにシーツの温度は燃え盛るように熱い。
最近は情事の最中に優花の名前を知らず知らずのうちに言葉にしていることがたびたびあるらしい。
終わると陽菜はむくれるけど、大人なのか興味ないのか、そもそも割り切った関係だから知る必要がないのか、いつも直後に確認するだけで『誰なのか?』とか『どういう関係なのか?』ということは一切聞いてはこなかった。
俺以上に熱く火照った陽菜の身体を胸に抱き、ご機嫌取りで顔中にキスを降らせていく。
『…もう……くすぐったい…』
身を捩って嬉しそうに抵抗する陽菜。
その透き通るような身体にさらに唇を這わせて攻め立てる。
時折“証”をつけたい衝動に駆られるけど、夫がいる身の陽菜にそんなことは絶対にしてはいけなかった。