Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]



『いま話せるか?』



「え、あ、ちょっと待って下さい。外出ます」



居酒屋の喧騒から逃れて店の外に出た。



――西崎さん、何の用だ?



昨日、一方的に電話をぶっち切った手前、なんとなくバツが悪い。



正直俺、今までにあんまり西崎さんに逆らったことも昨日みたいに挑発したこともないんだよな。



冷静になって考えてみたらさすがにまずいよな。



上司に対してやってはいけないことだよな。



もしかして俺クビか…?



あれこれ最悪のシナリオを想定しながら電話に出た。



「…なんでしょうか?」



『ああ、ごめんな。出先だったか』



「はい。今日は大学時代の友達と久しぶりに飲んでて」



『そうか、邪魔して悪かったな』



「いえ…」



しばらく沈黙する西崎さん。



切り出しにくいのだろうと思って自分から話を振った。



「…昨日はすみませんでした」



『え?』



「いろいろ失礼な態度をとってしまって…」



『ああ…うん。なんか福嶋らしくなかったよな(苦笑)』



「それは西崎さんも同じですよ」



あんなムキになったところも感情的になったところも少なくとも俺は見たことがない。



ただの一度も。





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