Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]
あたしこの頃ヘンだよ?
頭の中がどんどんどんどん福嶋くんでいっぱいになる。
気がつくと福嶋くんのことばかり考えてる。
福嶋くんが気になってしかたない。
危なげで心配させるようなことばかりするから、だからこの手でちゃんとつかまえておかないと不安で不安でしかたがない。
どこかに、手の届かない場所に行っちゃうんじゃないかって――…
頬を滑る骨張った指をぎゅっと握りしめる。
その手首にはあたしが贈ったバングル。
―――Credo nel destino.
―――運命を信じる。
福嶋くんはどんな運命を信じているの?
どうして…
あたしが贈ったものを肌身離さず身につけているの…?
「…好きだよ」
…どうして偽りのない瞳で言うの?
「――…おまえを苛めんのが」
「…分かってるよもう。何度も言わないで」
あたしの言葉に微かに口の端で微笑んで、
そうしてもう一度甘くささやく。
「――…好きだよ」
2つの瞳が絡み合う。
額を合わせる。
福嶋くんの熱が分からないほどにあたしの額も熱を持っている。
触れられている頬も耳朶も、至近距離で見つめられている顔も、まるで体全体がウィルスに感染したかのように熱に浮かされている。
「…好きだよ。おまえを苛めんのが…。
だから…
―――…沖縄には行かせない」
厚さ数ミリのマスク越しに、そっと2人の唇が重なった。
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