Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]
―――…
『…好きだよ。おまえを苛めんのが…』
…分かってる。
福嶋くんはただあたしをからかって面白がってるだけ。
『…好きだよ』
…なのに、その言葉に頭が洗脳される。
『…好きだよ』
――おまえを苛めんのが…。
だったらどうしてそんな優しい顔をして何度も甘くささやくの?
『好きだよ――…』
たぶん逃げようと思えばできたのかもしれない。
でもしなかった。
できなかった。
『…好きだよ』
マスク越しの燃えるような熱いキスと甘くささやく声に翻弄され、頭の中で何も考えられなくなる。
唇以外の感覚がすべて麻痺を起こす。
『…好きだよ』
――おまえを苛めんのが…。
言葉を発するたびにいったん離れては、またマスクの向こう側の唇を的確に探し当てる。
『…好きだよ』
下唇を包み込むようにそっと食み、角度を何度も変えながら優しく啄み、上唇を吸い上げ、薄い布の向こう側へと熱い息を吹きかける。
薄い布を隔てても分かる柔らかな唇の感触、優しい温度。
どれほどの時間、薄い布越しのキスに溺れていたか分からない。