Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]
――あたしが…本当に進みたかった道…。
小早川さんの事務所に誘われていることを最初に相談したのは福嶋くんだった。
体調を崩した西崎さんのお見舞いに行き、そこで斉木さんと鉢合わせになって、斉木さんの見た目や献身的な看病をする姿勢から引け目を感じてすっかり落ち込んでいたあたしを観覧車に乗せてくれ、シンデレラの魔法をかけてくれた。
それでもいったんは心が晴れたのに、その後にかかってきた西崎さんからの電話で斉木さんとの関係を否定され、きっと斉木さんにもあたしとのことを同じように否定したんだと思ったら途端に言いようのない切なさと虚しさに襲われひどく打ちのめされた。
そんなあたしを福嶋くんは半ば強引に自宅へと連れていき、あたしを優しく抱きしめながら、人知れず悩んでいたあたしの話を、泣きじゃくってまとまりのない話だったのにもかかわらず延々と文句も言わずに聞いてくれた。
前日に小早川さんと出会ったこと。
そして小早川さんの婚約者だった優花さんと西崎さんの衝撃的な過去。
それから――…
『――村瀬さん、もしも君にその気があるのなら、ウチのインテリア部門で力を発揮してみないか?』
別れ際に小早川さんが携帯番号を書いた名刺をくれた。
『俺は3年前に君の作品を見て生きる力を見出だした。
今度は俺が君の夢を手助けしたいって思ってる。
いつでも構わないから。
決心がついたら電話してきてくれないか?
――…待ってるから』