Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]
どうしようもない空虚感に襲われ軽く目をつむると、ふと帰り際の村瀬の顔が思い浮かんだ。
夕方かかってきた電話から明らかに様子がおかしい村瀬。
あいつ何か隠してるよな、絶対。
・・・
「…西崎さん。お願いがあるんですけど」
もう守れない約束はしない。
俺はあいつの正義の味方じゃない。
あいつにとっての正義の味方は…――西崎さんただ1人だ。
俺は、今日の村瀬の様子がおかしかったことを西崎さんに話した。
西崎さんはちょうど村瀬に話したいことがあるからと、このあと電話をしてみるついでに相談に乗ってくれると言った。
村瀬に話って何の話だろう…?
ふと気にはなったけど、村瀬を守る役目を西崎さんに託すと決めた以上詮索はしないでおいた。
『福嶋………1つ聞いてもいいか』
西崎さんが、ようやくといったように本題を切り出した。
「なんですか?」
俺は冷静を装いながら淡々と聞き返した。
何を聞かれるのか正直怖かった。
昨日の夜、村瀬と本当に寝たのかどうか。
それとも俺の本気の度合いでも計るつもりなのか。
だけど西崎さんは…
俺が構えていた質問とは全く違う質問を、
心底困ったような声音で訊いてきた。
西崎さんのこれほどまでに弱々しい声を聞いたのは初めてだった…。
『俺は…どうして村瀬を…泣かせてばかりいるんだ――…?』