Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]

「あー…」



もしかしてあれか…。



思い当たる節があって誤解されていることが分かった途端、言いようのない嬉しさが胸に込み上げてきた。



「…何だ嫉妬してんのか？」



「なっ…違うもん！」



思わず手を挙げたせいで涙でぐしゃぐしゃになったひどい顔をあらわにする村瀬。



その隙を縫って目尻を伝う涙にそっと口づけた。





「…！　福嶋く――「黙れ」





指を絡め、両手を拘束する。



目尻に唇を押しつけては離れ、啄むように何度も口づける。



やがてそれは唇以外の顔中に降り注いだ。





「…どうし…て…？」



「好きだから」



まっすぐ村瀬の瞳を見ながら言う。



「…苛めるのが？」



「そう」



村瀬はいったん泣き止んでいた顔をまた泣きそうに歪める。



「…村瀬は？」



「え…？」



「何で仕事でも顔突き合わしてんのに仕事以外でもわざわざ俺に会いに来る？」



「……」



「何で俺にキスされそうになったとき受け入れた？」



「……」



「何でいつも俺にされるがままになってる？　何で拒絶しない？　何で西崎さんにしたように俺を突き飛ばさない？」



「……」



ますます苦悶の表情になる村瀬。





「答えが出たら、そのときココに…」





村瀬の唇に親指を押し当てる。





「ココに…」





２人を隔てている障害物を取っ払って。








「ココに、キス、してやるよ――」








そう言って、２人を邪魔する自分の親指に、そっと唇を押し当てた――。