Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]
村瀬の部屋を後にしてエントランスまでやってきたときだった。
村瀬の部屋からだと思われる女の悲鳴が聞こえてきた。
ぶっ…これで1つ勉強になったな(笑)
つか今の悲鳴、周りの住人に通報されなきゃいいけど;
通報されたらシャレにならねぇよな。
謝って済む問題じゃないし。
それに村瀬のことだ、泡吹いて倒れてる可能性もあるし、戻って様子見てきたほうがいいか?
〜♪〜♪
あれこれ心配していたらその当の村瀬から電話がかかってきた。
「は――『ド変態っ!』
プツッ…ツーツーツー…
こっちの応答もろくに聞かずに一方的にガチャ切りされたし;
変態からド変態に昇格したし;
…とくに心配することなかったみたいだな。
…帰ろ。明日早番だし。
村瀬が無事だということが分かり、安心して路肩に停めた車に戻ると…
「…! ……………西崎さ…ん」
正面からゆっくりとした足どりで西崎さんが歩いてきた。
マジかよ、何でここにいんだよ?
まさか村瀬を心配して…?
…まぁ当然だよな、あんな別れ方されたらやっぱ気掛かりだよな。
「村瀬、おまえに会いに行ってたんだな?」
「あ…えっと…これはその…」
まずい、どこから見られてたんだ?
最初から見られてたのか?
村瀬の姿を見てるってことは最初からバッチリ見られたってことだよな。
つか俺、車の中で村瀬押し倒してたし;
ぅわ、何て言って弁解しよう。
答えに困窮していたらふいに西崎さんがすっと右手を差し出した。
「…?」
「これ、おまえから村瀬に返しといてくれないか」
返す…?
西崎さんは左手で俺の右手をつかむと手に何か握らせた。