Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]
慧吾≫≫≫帰る場所
慧吾≫≫≫帰る場所
――チン
軽快な音がしてエレベーターが7階に止まった。
「…菜月?」
部屋の前まで行くと赤ら顔の菜月がぐったりと座り込んでいた。
「あっ…慧ひゃん、お帰んなひゃ〜い」
ふらりと覚束ない足で立ち上がる。
「…飲んできたのか?」
「ひゃい♪ かいひゃ(会社)の飲みひゃ〜い(飲み会)〜♪ こっからちひゃい(近い)とこでお開きになっひゃからまた慧ひゃんのとこで泊めてもらおうと思って〜」
「…ったく。おまえはいつもいつも俺ん家を何だと思ってんだよ」
「びぇんり(便利)なタダ宿〜♪ 朝食付き〜♪ あっどうもいちゅも(いつも)おしぇわ(お世話)になってまひゅ。ウィッ…トゥ●スッ!」
…オ●ドリー春日かよ(呆)
「…はぁ〜。とにかく中に入れ。近所迷惑だから」
鍵を開け、ふらふらの菜月を玄関に押し込める。
「慧ひゃん、アタヒ(あたし)のおふゅとん(お布団)用意して〜」
「分かったから腰にしがみつくな!」
酔っ払い菜月をとりあえずソファーに横にならせて、書斎に客用の布団を敷いてやった。
このあいだ村瀬を泊めたときにも貸したこの布団だけど、実のところほぼ菜月専用なんだよな;
菜月はこの近辺で飲み会があると必ず俺のところに泊まりにくる。
前に一度飲んだくれて帰ったときに、部屋の中までたどり着けずに部屋の外で朝まで寝ていたという失態をやらかしたことがあるらしく、以来飲み会などがあるときは飲んで帰っても幼なじみのよしみで介抱してくれる俺のところへ来るようになった。
…ほんと、こんな世話が焼ける奴、幼なじみじゃなかったらここまでしてやらないし;