Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]
「菜月ほら、布団敷いてやったからあっちの部屋行け」
「ひゃ〜い♪ 5番、相澤菜月行っきま〜しゅっ」
…5番でも10番でもアム●・レイでも何でもいいからおとなしく行って寝てくれ;
菜月はフラフラする足どりで書斎へと向かった……と思ったら間違えて俺の寝室に入っていった。
「菜月違う、おまえの部屋そっちじゃない!」
「はにゃ?」
「はにゃ?じゃない」
俺のベッドにダイブするすんでのところで連れ戻して書斎に押し込める。
面倒なので柔道技の内股をかけて布団に沈めた。
…やれやれ。
ふかふかの布団に包まれてやっと安心したのか、菜月はすぐに目を閉じて寝入ってしまった。
これで朝まで起きてこないだろう。
「おやすみ」
すっかりおとなしくなった菜月に一声かけ、部屋の電気を消した。
――パタン…
書斎のドアを静かに閉め、開けっぱなしだった寝室のドアを閉めようと中に入る。
ガランとさっきまでの騒々しさが嘘のように静まり返っている。
誰もいない、誰の気配もない寝室。
いつものことなのに今日はどうしてだかひどく寂寥感を感じた。
急にここにいることがいたたまれなくなってそこを飛び出すと、何かに突き動かされるようにリビングの棚の引き出しという引き出しを漁る。
――どこだ…
――どこだ…
――確かこの辺にしまったはずなのに…
――どこにやった……!?
「…! あった!」
探し求めていたものを発見し、それを握りしめて衝動的に部屋を飛び出した――。