Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]



あの日、歩道橋から偶然見てしまった福嶋くんの車。



助手席には福嶋くんと親しげな女の子。





『――好きだよ。おまえをいじめるのが』





…分かってる。



福嶋くんはただあたしをいじめるのが好きなだけ。



今だって、あたしの体中にキスマークをつけたのだって、ただ面白がってやっただけ。



けっして西崎さんへの当て付けなんかじゃない。



分かってるのに、痛いほど分かってるのに、それでも体は愛される悦びを素直に感じている。



西崎さんからでは満たされないものを福嶋くんからなら感じてしまう。



どうしてあたしの体は西崎さんを拒絶するくせに福嶋くんは拒絶しないんだろう。



いつだってされるがまま…



どんなに触れられたって平気…



いったいあたしの体はどうなってるの…?



どうして好きな人に触れられるのを拒絶するの…?






『…俺は恥ずかしい話、恋愛と呼べる恋愛をこの年になるまで一度もしたことがないし、特別誰かを心底愛したこともない』






あの日、歩道橋で西崎さんに抱きしめられたとき、佐渡さんのお店で西崎さんが言った言葉がふいに頭をよぎった。



西崎さんは今でも優花さんを愛している。



そう小早川さんが言っていたのに、なのに西崎さんは優花さんを愛していたのは幻みたいなものだったと言う。





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