Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]



『幻…?』



『…きっとどこかで母親の面影を優花に重ねて見ていたのかもしれないな。6つも歳が離れていたし、あれは恋愛感情なんかじゃなく、憧れ的なものだったのかも知れない』



優花さんを想っていたことはただの憧れだった。



優花さんに幼くして離れ離れになった母親をただ重ねて見ていただけ。



西崎さんは5才のときに両親が離婚して父親にも母親にも見放されたような形で育ってきたから、恋愛観もどこか冷めていると言った。



お母さんが血を分けた自分を置いて、よその男の人に走ったせいで女性はいつか自分の元を去っていくかもしれない。



だから本気になれない。



心底愛したりしない。



初めて西崎さんの心の闇に触れたとき、あたしなんかに打ち明けてくれてすごく嬉しかったけど、だけど同時に強烈な不安感に襲われた。



どんなに西崎さんを想っても心底愛してはもらえないし、あたしなんかが西崎さんの恋愛観を根底から覆すほど、西崎さんの心の闇に立ち向かって行けるはずがない。



だから…



だからきっと西崎さんに抱きしめられたとき、あんな風に突き放してしまったんだ。






もしかしたら西崎さんは、あたしと向き合ってみようと思ったかもしれなかったのに…







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