Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]
「あやのん…、あやのんには正直に打ち明けるけど、実はわたしね…? プロポーズ受けたけどまだ迷ってるの」
「え…?」
「…彼以外にほかに気になってる人がいて」
「ええっ…」
ハコさんは半年ほど前から気になってる人がいて、自分なんか絶対に相手にされないって思ってたからズルズルと今の彼と付き合っていたんだそうだ。
ハコさんは今の彼氏と付き合って8年。
最近ではときめくこともないし、一緒にいても心から楽しいとは思えないんだそうだ。
「今のわたしたちってもはや熟年夫婦のようだしね…?」
ハコさんは力なく苦笑する。
「…優しくて誠実で仕事熱心で文句のつけようのない人なんだけど、やっぱり自分のなかで何か違うなって思ってて…。
このまま情だけで一緒に居続けるってことは一生自分を押し殺して生きてくことになるのかなって…」
ハコさんの瞳にうっすらと涙が浮かぶ。
あたしには長く付き合った人なんていないからハコさんの気持ちは全然わからないけど、やっぱり長く一緒にいたら恋人っていうよりは家族みたいな感覚になるのかな…
それはそれで絆が深いみたいでとっても素敵なことだと思うんだけど、ハコさんにはそうは思えないんだね。
こればっかりは価値観の問題だし、あたしがでしゃばったこと言ったってやっぱりいちばん肝心なのはハコさんの気持ちだから。
「ハコさんの気持ちがブレないのなら自分に正直に生きたほうがいいと、あたしは思いますよ」