Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]
夕食は冷製パスタをふるまった。
村瀬は『おいしい、おいしい』と笑顔で何十回も言ってくれ、その小さな身体のどこに入るのかと不思議に思うほどたくさん食べてくれた。
菜月には悪いけど、20年以上付き合ってる菜月との食事では味わったことのない新鮮さがあって、村瀬との食事はとても和めたし、同時に食卓が明るくなったように感じた。
2人で食器を洗ってそれぞれ入浴を済ますと時刻は23時を回っていた。
この頃には村瀬もだいぶ表情がやわらかくなり、自然な笑顔を見せてくれたり、相変わらずの生意気を叩いたりするようになっていた。
「せっかくだしワインでも飲むか?」
風呂上がりの村瀬をソファーに座らせ、グラスとワインを取りに行く。
「そういえばさ、携帯にはかかってこないのか? その変な電話」
「はい。今のところは」
「じゃあ携帯番号までは知られてないんだな。明細書とかは気をつけてるのか?」
「あ、携帯の明細書は封書じゃなくていつも携帯で見るようにしてるんで」
「そっか…なら安心だな。でもほかの明細書も気をつけとけよ。ポストに鍵つけとくとか」
「はい。気をつけます」
「村瀬は抜けてるからなぁ…たまに部屋の鍵かけないで出かけたりとかしてたんじゃないのか?」
「それはないですよ!」
ムキになって否定するけど…
でもな〜…
ヒトん家と間違って隣の部屋をドンドン叩く大マヌケなヤツだしな(笑)
って笑い事じゃないけど。