Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]
『――身の危険を感じたらすぐにお得意の鈍器攻撃で応戦しろ』
「!」
そのとき、ふいに天の声が聞こえた。
鈍器攻撃…
鈍器…
あ――!
「長谷部店長ごめんなさいっ」
――ガゴーンっ…
あたしは火事場の馬鹿力ってやつでちょうど手近にあった筒状の灰皿を持ち、それで長谷部店長の頭を思いきりぶん殴った。
「…痛゙っ……ででで」
い、今のうちに!
――どんっ…w(>_<)w
「ぉわっ…!」
殴られて怯んだ隙にあたしに跨がっていた長谷部店長を突き飛ばす。
「す、すみません、ごめんなさいっ」
あたしはひたすら長谷部店長に謝りながらその場から走って逃げた。
〜♪〜♪
深夜の静かな廊下に響き渡るあたしの携帯とうるさい足音。
ホント迷惑な宿泊客だし;
明日苦情が来るかも――(ノ>д<)ノ
でも、そんなことよりもどこか…どこか…長谷部店長が追ってきても見つからないような所へ――…
あたしはときどき後ろを振り返りながら非常階段へと続くドアを見つけ、そこへ急いで飛び込んだ――…
「…はあっ…はあっ…はあっ」
こ、怖かった――…
長谷部店長、追って来なかったからもう大丈夫だよね――?
「はあっ……つ…疲れた…」
〜♪〜♪〜…ピッ…
「あ゙」
疲れて階段に座り込んだら、その拍子にうっかり通話ボタンを押してしまった。
…やば;
『あ…テメっ…やっと出やがったな。おいコラ村瀬! 何でさっさと出ねぇんだよ!!』
携帯を耳から30センチ以上離していても余裕で聞こえる福嶋くんの怒鳴り声。
そりゃあれだけ長い時間放置されてたら誰だって怒るよね。
でも…放置されるようなこと福嶋くんがするからじゃない――…