Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]
「…バカ…最低……福嶋くんなんか大嫌い」
『…はぁ…だからビデオの件ならノブアキが勝手に――』
「……グスッ…」
『…村瀬? 何だ泣いてんのか?』
「泣゙い゙でな゙い゙も゙ん゙」
『どこが泣いてねーんだよ。…ったく泣くほどのことかよ。そんなにAV観てたことがショックだったのか?』
「ぢがゔも゙ん゙…グスッ」
『AVなんてな、そこまで不潔に思わなくても健全な男なら誰でも一度は観てるっつーの。西崎さんだって中学ん時からヤりまくってたって言ってたんだからそれこそ教本代わりに――』
「も゙ゔい゙い゙!」
薄暗い非常階段にあたしの怒鳴り声が反響する。
「もういい…そんな話聞きたくない…グスッ…」
そんな話なんかしたくない。
いかがわしいビデオを観てたとか過去の女性関係のこととかもうどうでもいい。
そんなことよりも…
「……何で………何で…?」
『……村瀬?』
『何で…いないの――?」
いつだってピンチのときは福嶋くんがそばにいて助けてくれた。
面接のときに知らないおじさんに連れ去られそうになったときも。
海でチャラチャラした男の人たちにナンパされたときも。
ストーカーされたときだって。
いつだって福嶋くんがそばにいてくれたのに…
「…どうして……今はそばにいないの――…?」
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