Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]
気づくと周囲を柄の悪そうな男たちが取り囲んでいた。
その数8人。
『キャアアア! 何よあなたたち!?』
『うっせぇ! 騒ぐなクソアマ! まわされてぇのか!?』
『ひぃっ…』
女が俺に助けを求めるようにぎゅっとしがみついてくる。
俺はさっきから一方的にがなり立てているグループのリーダーらしき男を睨みつけた。
『んだよその目。やんのかコラ!!』
『ひぃっ…』
女がガタガタと震え出す。
爪が食い込むほどにきつくしがみついていた女の腕を俺はムリヤリ引き剥がし、奴らの前に突き出した。
『まわしたきゃどーぞ。ご自由に』
『ちょっ…ちょっと!』
『どうせ行きずりだし、この女がどうなろうと俺には関係ないし。
この女くれてやるから俺のこと解放してくんねーかな?』
『は? 何言ってんだよテメェ! 調子こいてんじゃねーぞ!! おいやっちまえ!』
号令を合図に取り囲んでいた8人が一斉に殴りかかってくる。
俺はちらっと周りを確認したときに目安をつけていた、この中でいちばん貧弱そうな体つきをしていた男を最初に蹴り倒した。
その空いた間隙に瞬時に女を突き飛ばし、ごろつきの輪の中から解放する。
『早く行け! 走れ!』
女は弾かれたように走り出した。