Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]
「シラフだったらあいつら全員地獄送りにしてたな」
俺が酒に酔ってたおかげで命拾いしたわけだしな、感謝してほしいし。
つーかこっちこそマジで次会ったらタダじゃおかねぇ。
丸腰の人間に卑怯な手使いやがって。
「シラフでも何でもお願いだから無茶しないでっ…」
さらにぎゅうっと抱きしめる腕の力を強める。
・・・
「……村瀬。こんなときになんだけどお前ノーブ…」
「…もうっ、こんなの絶対嫌だからっ」
「……」
「刺されたって聞いたとき、あた…あたし…っ……目の前が真っ暗になって…
福嶋くんが…いなくなっちゃうんじゃないかって…怖くて…」
「……」
「…よかっ……よかった…
本当に…――生きててよかった…」
俺の胸に顔を埋めて鳴咽を繰り返す村瀬をそっと抱きしめる。
「…ごめんな、心配かけて。…ごめん」
「…ううん……福嶋くんが無事でいてくれたら…それだけで…いい…」
…愛しいと思った。
ただただ愛しいと思った。
コイツ以外何もいらないって思った。
何が何でも自分のモノにしたいと思った。
例えコイツの心が西崎さんにあったとしても、コイツの心が西崎さんのモノでも。
それでも力尽くで奪い取ってやりたいって思った。
俺は…
俺はもう…いっさい引かない。
西崎さんから村瀬を――…心ごと奪い取ってやる。