Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]



「シラフだったらあいつら全員地獄送りにしてたな」



俺が酒に酔ってたおかげで命拾いしたわけだしな、感謝してほしいし。



つーかこっちこそマジで次会ったらタダじゃおかねぇ。



丸腰の人間に卑怯な手使いやがって。



「シラフでも何でもお願いだから無茶しないでっ…」



さらにぎゅうっと抱きしめる腕の力を強める。



・・・



「……村瀬。こんなときになんだけどお前ノーブ…」



「…もうっ、こんなの絶対嫌だからっ」



「……」



「刺されたって聞いたとき、あた…あたし…っ……目の前が真っ暗になって…
福嶋くんが…いなくなっちゃうんじゃないかって…怖くて…」



「……」






「…よかっ……よかった…


本当に…――生きててよかった…」






俺の胸に顔を埋めて鳴咽を繰り返す村瀬をそっと抱きしめる。



「…ごめんな、心配かけて。…ごめん」



「…ううん……福嶋くんが無事でいてくれたら…それだけで…いい…」








…愛しいと思った。



ただただ愛しいと思った。



コイツ以外何もいらないって思った。



何が何でも自分のモノにしたいと思った。



例えコイツの心が西崎さんにあったとしても、コイツの心が西崎さんのモノでも。



それでも力尽くで奪い取ってやりたいって思った。







俺は…





俺はもう…いっさい引かない。










西崎さんから村瀬を――…心ごと奪い取ってやる。










< 42 / 208 >

この作品をシェア

pagetop